第9回は桜坂洋の「よくわかる現代魔法―jini使い」です。

個人的に大好きな嘉穂が主役の巻です。嘉穂祭り!「おっとテレポーター」こと嘉穂はこの物語の中でいわば普通の人という役割を与えられています。つまり、現代魔法の使い手でも古典魔法の使い手でもありません。単にコンピュータを操れる女の子という設定です。現代魔法が、コンピュータを基体として、コードを編み、基体を流れる電流をうまく制御して魔法を発動させるものであるとすれば、嘉穂は魔法を発動させるコードを習得しておらず、単に既製のプログラミング言語にに通じているだけの女の子です。その嘉穂が現代魔法や古典魔法が相克している空間において、自分にできる仕事を全うすることで事態の解決に向かうというのがこの巻の内容。一点だけ批評的な視点から。電気機器の所謂ユビキタス化という側面をこの巻はとてもうまく捉えている。遠隔作用によって電気機器(を司る精霊jini)を動かす笑の危機を、MSNメッセンジャーのような通信機器を用いて外部から遠隔的にアシストし、助ける嘉穂。この質の異なる2つの遠隔作用を桜坂はうまく捉えていると思う。それはさておき、嘉穂可愛いよ、嘉穂。嘉穂が好きです。本当に好きです。俺を分解してくれ*1

*1:嘉穂は幼いころから分解癖をもった女の子ですから、いつも万能ドライバーを女子高生カバンに持ち歩いている素敵に可愛らしい女子高生の女の子なのです。嘉穂の可愛さだけは必然的に真ですよ、事象様相だけどな。