第6回は、日日日の「狂乱家族日記壱さつめ」です。

災いをもたらす能力を「もしかしたら」持っているかもしれない6人といきなり「家族」ごっこをはじめることを強制される主人公。その「家族」ごっこの中で生じる混乱を「家族」がどう切り抜けてゆくのか、これがこの作品を貫く筋です。ごくごく直球なラノベ*1なので、この作品がどのジャンルを意識しているものなのかを個人的にはまったく図れませんでした。もしかしたら、日日日は純粋にラノベで育った最初の作家なのかもしれません(憶測ですが)。

キャラとしては、傲岸不遜、わがまま言い放題、超毒舌、自称神のネコミミ娘「凶華」とおとなしく引っ込み思案で外傷持ちの女の子「優歌」にどきどきしっぱなしでした。デフォルトでネコミミが付いている凶華曰く「人間ドモの方こそ「ヒトミミ」なんて奇妙なものをつけやがって」だそうです。この凶華が発する罵倒にはパンチラインが多いですな。個人的にぐっときたラインは「貴様のような女心のわからない朴念仁は今すぐ本屋でりぼんマスカットコミックを大人買いしてこい」でした。

日日日の特徴は、何よりも文法がしっかりしていること。つまり、文体に頼らず、しっかりとした文章を書けている点にあると個人的には考えます。ラノベの中でもトップクラスに読みやすい文章だと思います。主述がしっかりとしており、句読点がきちんと使え*2、散文になることを終始抑制しつづける文章は本当にすばらしいと思います。あと修飾語の使い方、固有名の投げやりな造語っぷりも特徴かな、と。

日日日はjoseが買ってきた「蟲と眼球」シリーズから読み始めたのですが、この人は本当に才能がある方だと思われます。今、知人に「お奨めのラノベを一冊紹介しろ」と言われたら即座に日日日を薦めるはずです。

 

狂乱家族日記壱さつめ (ファミ通文庫)

狂乱家族日記壱さつめ (ファミ通文庫)

*1:あかほりさとるがその代表格だと個人的には考えています。

*2:うらやましい