kaseが読んだラノベの感想を挙げていきます。
第一回目は、新城カズマのサマー/タイム/トラベラー(1)です。

この作品(以下、STT)のすばらしさは、何よりもラノベの文法をフルに使い切っているという点にあると思われます。新城カズマは「ライトノベル「超」入門」において、ライトノベルをおおよそ次のように定義していました。ライトノベルとは第一にメタジャンル小説であり、第二に読者にとっての読みやすさを高めるための技法がフルに動員された小説一般である、と。*1

この定義を念頭におけば、STTはSFというジャンル小説の枠組みを踏襲しながらも、そうしたジャンルに特有のガジェット一般(可能世界論、形式論理学、平行世界論、タイムトラベラーのパラドクス、観測者問題、量子論理、フェルミの方程式、ドレイクの方程式などなど)をほぼすべて大人びた高校生たちの対話のなかへと織り込むことで、その読みやすさを高め(難解さを軽減し)、同時に、こうしたガジェットを梃子として展開される話の筋それ自体は、ジュブナイル小説の枠組みを踏まえているがゆえに、すぐれた青春もの小説として読むことができる。SFとジュブナイルというジャンルに対してメタな立場を維持しながら、同時に読みやすさを指向した小説であるSTTは、新城がいうところの「ライトノベル」を体現した作品であるといえるでしょう。

キャラとしては個人的には響子に萌え続けました。響子が編み続けるアエリスムという架空の金言句集の設定を読んだ時に思い出したことは、知人が過去に作っていた似たようなページ*2悪魔の辞典とか、フローベールの紋切り型辞典とかいったこの種の試みは、人類の愚性*3の総量が一定以上に達すると不可避的に世に現れる類のものだと思うのですが、響子のアエリスムはそういった人間の愚性を前提にした上で、単にそれらを相対化するだけにとどまらず、それらの根本的な治療法を提案するという意味で他の試みとは異なった攻性的な試みだと思います。一方で、コージンというキャラは、あくまでゲームマスター視点を意識させるために作られたキャラであるためか、著しく魅力に欠けたスーパーマンです。残りの話は(2)の評の時に。そんな感じ。

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

 今週のマガジン!!
 ネギま!が載ってないよ…。続きが気になって仕方がなくて仕方ないのに。
 しかし、来週はアニメ化記念*1で巻頭カラーか〜。カラーページで楓さんは活躍できるのかしらん。そしてちうちうちうっちは?
 いつもは絶賛立ち読み中のjoseですが、さすがに来週は買うかも。いや買うべき?


 それはそれとして、『絶対可憐チルドレン』の6巻の感想を。
 といっても、ここまでウェルメイドだと、今回も面白かったです!より他のことがjoseにはなかなか言えません。
 まあ6巻読んでやっと気がついたのは、『絶チル』は『ネギま!』とちょうど逆の構図のお話なんだなー、ってことぐらい?
 ちっちゃい男の子が、年上の女の子の面倒を見て、教え導くのがネギま!なら、ちっちゃい女の子を、年上の男が面倒を見て、教え導くのが絶チル*2
 ネギてんてーも皆本も品行方正まじめなジェントルマンですが、こどもなので基本的になんにもわからないネギてんてーにくらべて、皆本はつねにキビしい欲望との闘いを強いられてますね。
 まあ、ムッツリだからなー。皆本。耐えるのも大変でしょう。
 小学生と付き合うのは犯罪*3だから、兵部にしといてはどうか?


そんな事はともかく、6巻は大人バージョンの葵が表紙でとても良かったですよ。
チルドレンの中では葵が一番好き。フツーに良く出来た子で苦労しそうなトコがかわいい。
今回は、新キャラ不二子ちゃんに唇を奪われて薫が、
「犬に噛まれたとでも思って忘れよーぜ」
と言ったのに返した一言。


「犬に噛まれて忘れられるかああっ!」


が、とても良かったです。
正しすぎるお言葉。ありがとうございます。
犬に噛まれりゃそらキズも残るっちゅう話で。
このひと言、もっと大きいコマで使って欲しかった。

絶対可憐チルドレン (6) (少年サンデーコミックス)

絶対可憐チルドレン (6) (少年サンデーコミックス)

*1:joseの住む地域では放送されねーけどな!

*2:遅すぎる気づき

*3:付き合うだけならいいのかも。付き合うだけならば。