時を×少女

時をかける少女』を観ましたよ!二回観ましたよっ!!泣きましたよ二回とも!
 時をかける少女

 といっても見たのはすでに一週間以上前なんですけど。しかしその感動いまだ冷めやらず。ほんとによく出来たステキなアニメで、ステキな映画でした。
 世間的にも評判がよいみたいで、それはとてもうれしいーなあ、とは思うんですが、ちょっと気になる点もあって、それは『ゲド戦記』と比べている人が多いこと。
 
 確かに『時かけ』は『ゲド』より面白いかもしれませんよ。いや、『ゲド』は観てないので、それすら確かなこといえないんだけど。でも『ゲド』が面白いかどうかとは関係なしに、『時かけ』はステキな映画なのですよ。これは強く言っておきたい。おきたいです。
 もしjoseが『ゲド』を観に行って、それが風評とはちがって無茶苦茶素晴らしい名作で、『時かけ』よりも感動的だったとしても、もし仮にそうなったとしても、『時かけ』が名作だっていうことには変わりはないんです。
 『時かけ』の評判がいいのは『ゲド』が凡作だったおかげ、ってことは、もしかするといくらかはあるかもしれません。だけど、『時かけ』が面白いのは『時かけ』自体がステキだからだと思いますよ。*1

 つまり何がいいたいかというと、joseも真琴と一緒にキャッチボールがしたい、そういうこと。


 で、具体的な感想としては動きとか構図とかがとっても良くて、やっぱりアニメは「絵が動く」のが一番の魅力なんだなー、と再確認です。
 特にタイムリープした後の、真琴がゴロゴロ転がってドカーン!というシーンはとても気持ちいい。元気いっぱいでノー天気な真琴のキャラクターがとてもよく伝わってくるし、繰り返しで作られるリズムも快感で、声を出して笑ってしまう。

 リズムやテンポの気持ち良さっていうと、真琴に下級生ふたりが詰め寄って「功介とつきあってるか」を追求してくる場面なんかもいいです。あそこも画面の気持ちよさとキャラクターの魅力の両方が、一度に押し寄せてきて、ステキだ。
 その他にも、そもそも真琴がタイムリープで同じ時間を何度も繰り返すので、繰り返しのリズムの快感はとにかくたっぷりある。ジャイアントスイングで投げられた男子をブリッジで鮮やかにかわす真琴とか、自分の変わりに功介をその男子と激突させる真琴とか。あとカラオケボックスにゴロゴロと前転で飛び込んでくる真琴とか。あれ?リズムの話が真琴の話になったよ?真琴はもりもりガツガツ食べるところもかわいいです。鉄板焼きやプリンのためにタイムリープするし。


 それと、実写の映画の影響を受けているような構図や動きも多いけど、同じようなことをしても、全然ちがうことになるんだなー、とこれも再確認しました。クライマックスの千昭のまつグラウンドへ向かってひたすら駆ける真琴を、顔のアップでずっと描いているシーンとか。この辺りはもう完全に涙目で観るしかない!そして、涙目のぼやけた視界で観るのはもったいないシーンなので、二回観に行くしかないわけで。

 もちろん!良いのは映像だけでなくて、ストーリーだってステキです。
 細かく考えると時間の流れとかちゃんと整合性がとれてるのかしらん?と思わないでもないけど、そこは映像の魅力と真琴のキャラで押し切ってるので、観てる間はとくに疑問わかないし。原作もむかし読んでいたはずなのに、千昭が未来から来た、という可能性はまったく考えずに観ていたので、終盤の展開はびっくりしました。むろんいい意味で。


 真琴の他愛のない時間改変を、ニコニコしながら観ていると次第に、たとえタイムリープで、なんども同じ時間を繰り返すことが出来ても、タイムリープした真琴自身にとっては巻き戻す前の時間での経験をなかったことはできないんだな、という、考えてみれば当たり前のことを気づかせてくれます。だからこそ、やり直すことで、色々と得があるんだけど、やっぱりそれは結構しんどい状況だ。
 なんどもリセットしまくったせいで、結局最終的には千昭から告白してもらえなかったしなー真琴。あの告白が多分真琴が千昭への気持ちに気づくきっかけだったのに、真琴以外にとってはあれはまったく「なかった事」なんだ、と思うとほんと切ないなー。
 ラストの場面。オープニングと全く同じキャッチボールの描写で終わるけど、あそこにはもう千昭いないんだよな。もっと言うとあの時間には存在してすらいないんだよなー。涙なしには観れないよ。
 もうね。千昭が言ってくれなかった分、いくらでも言いたい!


 「あのさー真琴、オレと付きあわねえ?」

*1:細田守は、一度は決まった『ハウル』の監督を降ろされるハメになってるし、いろんな憶測をよぶのかもしれないけど。