さっき気づいたんだが、今日って母の日らしいじゃないですか…
何もしてない…


ていうか「母の日」って言ったら我らが那波千鶴さんの日と言っても過言じゃないじゃないですか!?


という訳で急遽書いてみたちづなつこたSS!


突貫で書いたのでいつも以上に内容とオチが無いぜ!


ちなみにいいんちょさんが出てこないのですが、いいんちょさんは母の日をお母様と過ごされているので出てこないのですよ!


いいんちょはどこまでもいいいいんちょ


ちづなつこたSS「母の日っていったらちづ姉の日だよね!そうだよね!」




 「おっ、ウマそうやなー!パクッ」


 「あっ、コタロー君つまみ食いしちゃあダメだってばー!」


 「うん!ウマい、ウマい!」


 ここは麻帆良学園中等部女子寮の665号室。いつもは千鶴が料理を主に作っているのだが、今日に限っては夏美が夕食の支度をしているらしい。その様子を眺めたり、味見と称して夏美の料理を端から手を付けているのが小太郎である。


 「それにしても夏美姉ちゃんが夕食作るなんて久々ちゃうか?ここんとこずーっと千鶴姉ちゃんが食事作っとったけど。」


 「うーんと、まあ今日くらいはちづ姉にゆっくりしてもらいたいなーと思ってね。」


 665号室の住人は、雪広あやか那波千鶴村上夏美、そしてひょんなことから転がり込んできた犬上(村上)小太郎の四人である。しかし、夕食時だというのにあやかも千鶴も外出中のようで、部屋には夏美と小太郎しかいない。


 「あやか姉ちゃんはどこ行っとるん?」


 「いいんちょは家に帰ってるみたいよ。」


 「ふーん、千鶴姉ちゃんは?」


 「街まで買い物に行くって言ってたよ。今朝「今日くらいは家事しないで自分の好きなように時間使って」って言ったら、「じゃあ、久しぶりに服でも買いにいこうかしら?」だって。」


 「じゃあもうすぐ千鶴姉ちゃん帰ってくるんやな。」


 小太郎は相変わらず夏美の周りをウロウロしながら、つまみ食いするタイミングを窺いつつ、夏美に話しかける。夏美のほうは、料理する手を休めること無く、かといって小太郎を無視する訳ではなく、返事をする。


 「ところで、夏美姉ちゃん」


 小太郎が口を開く。


 「今日って何の日なん?」


 夏美が少し照れたように返事をする。


 「えへへっ。今日はね母の日なんだよ。お母さんってわけじゃないけど、なんだかんだいっていつもちづ姉には世話してもらってばっかりだし、だから今日はちづ姉にゆっくりしてもらいたいなーと思って。」


 「そういや今日は母の日やったか!すっかり忘れとった!オレも千鶴姉ちゃんには大分世話になっとるしな。よっしゃ!じゃあオレも夕飯の支度手伝うで!一緒にウマいメシ作って、千鶴姉ちゃんを喜ばしたろうや!」


 「うん、じゃあコタロー君、テーブル拭いてお箸並べておいて!」


 「まかしとき!」


 そうこうしているうちに、夕食も完成し、それとほぼ同時に千鶴が帰宅する。


 「夏美、ただいま。」


 「ちづ姉、おかえり。」


 「千鶴姉ちゃん、遅いで!」


 千鶴を部屋の入り口まで迎えに行く夏美と小太郎。そして、二人は千鶴をリビングまで引っ張って行く。


 「あらあら、二人ともそんなに慌ててどうしたの?」


 「ジャーン!」


 千鶴を迎えたリビングのテーブルには豪華な夕食が並んでいる。旬の筍を使った筍ご飯、鳥の唐揚げ、シーザーサラダなどなど、果たして一中学生がこんな多くの料理を作れるのか疑いたくなるような品数である。そして真ん中には赤いカーネーションの一輪挿し。


 「まあ、凄く豪華じゃない?これは一体誰が…」


 「オレと夏美姉ちゃんの二人で準備したんやで!」


 「ありがとう、凄くうれしいわ!」


 胸を張って自慢げに宣言する小太郎と、あまりの豪華さに驚く千鶴。


 「まあ、コタロー君はほとんどつまみ食い係みたいなモンだったけどね…」


 「夏美姉ちゃん…。何か言ったか?」


 「えっ、ううん、何でも無いよ!」


 「まあまあ、じゃ、せっかくだから冷めないうちにいただきましょうか?」


 「せやせや。オレもうお腹ペコペコやで。早くメシ喰おうや。」


 「あっ、コタロー君まだだよぉ。今日の主役はちづ姉なんだから、食べ始めるのはちづ姉が最初でしょ?」


 「そんなん関係ないわ!」


 「まあまあ、二人とも。まずはお食事の前に手を洗ってきなさい。」


 「はーい!」


 まるで母親に言われた子供のように、素直な返事をする夏美と小太郎。


 「ちづ姉!手洗ってきたで!」


 「じゃあちづ姉、早速食べようよ!今日は料理の出来には凄く自信があるんだ!特にこの…」


 いつもよりかなり高めのテンションで料理についての解説をし始めようとする夏美。しかし千鶴はそれを制して、


 「ありがとう夏美。でもまずは食べ始めましょうか。では二人とも手を合わせて…」


 パチン、と三人の手を合わせる音が部屋に響く。


 「いただきます。」


 「いただきまーす!」


 とまあこんな様子で、いつの間にか千鶴が仕切り、いつの間にかいつもの食卓の風景に戻る665号室。千鶴はまさしく、665号室の「母」であるようだ。