観たっ・・・!!

 つまりひとまずのトコは脱稿したのですよ。ふぅ。
 楓さんとたつみー中心、武道四天王総登場なSSは新刊『バビロンシステム』に収録されます。
 コミケ一日目。いろいろ詰め込みすぎてわけわかんなくなった気がする。

 
 で、『Devil's Rejects』ですが・・・。
 泣ける映画でした。ロブ・ゾンビの監督ぶりはミュージュシャンの余技なレベルじゃないです。
 映画オタな映画監督としてタランティーノもかすむような。
 画面や演出が良くできていて、まず内容うんぬん以前にしっかりがっちり観れる映画になってるよ。
 カメラワークや音楽もいいです。今回は本人の曲はなく、古めのポップスやソフトロック、カントリーが、全体的にいなた〜い空気をかもし出していました。サントラ*1が欲しくなる。


 で、泣けると言う件。
 『Devil's Rejects』は『マーダー・ライド・ショー*2の続編。ホラー映画へのオマージュがいっぱい詰め込まれた前作に対し、今回はアメリカンニューシネマへの愛が炸裂。*3
 『マーダー』はサイケデリックな『悪魔のいけにえ』って感じで、イカれた殺人鬼一家に遭遇してしまい、ひたすら理不尽な目に会うというものでした。
 この殺人鬼一家が今回の主役に。
 続編で殺人鬼/怪物が主人公化、と言うのはホラー映画だとだいたいマンネリへの道というか、殺人鬼がもう存在自体ギャグってなるのが通例です。13金とか。
 
 けど、これはそうなってない。
 殺人鬼一家はあくまでも血も涙もない、それでいて残酷な遊び心だけはある同情に価しない恐ろしい連中に描かれています。この辺の展開の容赦のなさはひどい。13金なんかだと不道徳なやつから死にますが、そういう選別も当然ないもの。

 しかし、最終的には観客を彼らの側に引き寄せる離れ業。
 彼らの怪物性を強調しておきながら、復讐の妄念にかられて彼らを追うイカれた保安官を登場させ、保安官が怪物として彼らを残酷に追い込んで行くことで、いつの間にか立場が逆転します。
 保安官のイカれっぷりがいい感じ*4なので、滑らかに一家が不条理な暴力にさらされているかのように。イヤ、同じ事を返されてるだけなんだけど。 

 こうして保安官のお陰でぼろぼろになった一家は、なぜか理不尽に追い立てられ、しかし家族の絆を頼りに生き抜いている連中みたいな空気になってます。

 そして、美しい音楽をバックに描かれるラストシーンではいつの間にか、すっかりセンチメントが。

 正義の側にある者がいつの間にか暴力を振るう者になる、なんてのはいつだって簡単なのだ―といった風に観たりも出来るかもしれないけど、joseとしてはどう観ても共感する所のない怪物的な殺人鬼にいつのまにか感情移入させた上で、泣ける映画にしたてあげる、という演出や構成によって生み出される素晴らしい詐術にこそ感動。

*1:The Devil's Rejects

*2:原題は"House of 1000 Corpses"。カタカナなタイトルも案外と邦題だったりするので気をつけよう。

*3:らしい。アメリカンニューシネマにはうといので良くわからんんのですが。

*4:マルクス兄弟専門」の映画研究家がエルヴィス・プレスリーのコトを「腰ふり野郎」といった途端「オレの前でキングの悪口ゆったら殺す!」ときれちゃうシーンは良かった。この手の無駄な会話が良い所も好きですね。