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- 作者: 赤松健
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/10/17
- メディア: コミック
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単行本20巻感想として、です〜。
突発的に龍にんSS、です〜。
ちび龍にんの前夜だと思いねえ!*1
〜mobile conversation〜
ジャーンジャーンジャララーン!
携帯電話の着信音が響かせる雄々しい旋律。
「あいあい。拙者でござるよ」
のほほんとした声で電話に出る。楓。
「私だ」
短く、鋭く、低く、はっきりとした声で告げる。
「真名でござるか。お主から電話とは珍しいでござるな」
「まあ、普段は学校で会うからな。夏休み中だとそうもいかんだろう?」
「拙者は補習があるから学校にも行ってるでござるよ?」
楓がさも当然のこと、といった調子で言う。
「この間の期末テストは無事切り抜けたんじゃなかったのか?」
真名。疑問符を脳裡に浮かべている声音。
「そうでござるよ?頑張った甲斐あって赤点も“あんまり”なかったでござるからな。やっぱりなにごとも修行でござるな〜」
やはり当然のこと、といった調子の楓。
「……。うむ。私と楓では、そもそも基準が違うようだな」
「そうなのでござるか?」
納得しつつ呆れる真名に、むしろそれを不思議がるような楓である。
「しかし、補習だけじゃないのだろう?なにやら刹那たちともいろいろやってるみたいじゃないか?ネギま部(仮)、だったか?」
「あいあい。さすがに耳が早いでござるな」
「海…にも行ったんだろう?」
何気ない口調できく。
「行ったでござるよ?」
「………。楽しかったか?」
「楽しかったでござるよ?」
「………。そうか」
妙に重たい口ぶりの真名に―
「お主も行きたかったでござるか?」
楓はきいた。
「別に…そんなことはないさ。だいたい私はネギま部(仮)の部員でもないしな」
「友達だしクラスメイトではないか。魔法のこともとっくに知っているわけだし、そんなこと気にする必要ないのではないかな?」
「それはそうだが…」
真名はあいまいに言葉を濁す。
「真名…麻帆良祭で超殿の側についたから、そのことを気にしているのでござるか?ネギ坊主とお主は敵同士だとでも?そんなことを気にする者がうちのクラスにいると思うのでござるか?」
いつも通りのおだやかな声で、しかし一気に切り込むように、楓が問う。真名はしばし黙してー
「……スマン。刹那にもそう言われたのだがな」
「あやまる必要はないでござるよ。ただ…」
「…ただ?」
「お主も一緒だったら、もっと楽しかっただろうと思ったのでな。そんなつまらぬ理由でこなかったお主に、ちょっと腹を立ててるでござる」
めずらしく、少しすねた風な口調である。
「楽しかったのだろう?」
「楽しかったでござるよ。でも、真名も一緒であれば、拙者は、もっと、楽しかったでござるよ」
「私と一緒だともっと楽しい…か」
「真名はそうではないでござるか?」
その言葉に、不意をつかれて真名は焦る。
「えっ?…いや、それはもちろんそう…だが。そうだ!電話の要件だが、明日にでも映画を観に行かないか?一緒に」
「映画でござるか?」
「そうだ。この間は楓も結局見てないだろう?あの映画。あらためて観に行こうじゃないか。あのままでは悔しいとは思わないか?」
「一緒に、でござるか?」
「……ああ。一緒に、だ」
「あいあい。心得たでござる」
…
……
………
その後、しばし歓談して、電話を切った。
ひとつ、真名のやつを驚かしてやるでござるか。
楓はそう思った。ニヤリとちょっぴりいじわるな表情。
〈おしまい〉